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- 導入事例
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- 医療法人文杏堂 杉病院
貴院の特徴をお聞かせください。
当院は循環器や呼吸器疾患等を中心とした地域のかかりつけ医として、外来や入院医療を提供し、また、自宅でも安心して暮らせるよう訪問診療や介護サービスにも力を入れております。
入院においては主に自宅等からの緊急入院を受け入れる在宅療養支援病院として国の進めていく慢性期高齢者救急を担っていると思います。
以前は医療・介護療養を主体としていたのですが、院長が代わってから筑紫野市や太宰府市を中心とした地域包括ケアに力を入れるようになり、病院自体の動きもかなり変化してきたのではないかと感じています。
Background導入経緯
電子カルテ導入のきっかけや目的を教えてください。
- 松隈事務長
- 導入したのは1年半前くらいです。紙カルテは紙特有の良さはあるものの、カルテ探しに時間を要し、職種間での情報共有不足もあり、また地域包括ケア病棟に変わったことで患者様の入退院数が飛躍的に増え、手書きの紙カルテでは業務が追いつかなくなってきたことから、業務の効率化が課題となっていました。 以前より電子カルテの検討はしていたのですが、診療報酬改定によるDX化が更に進み、医師や看護師等を採用する上でも電子カルテへの移行は避けて通れない状況になりました。また、院長が大学病院で電子カルテ導入を経験されており、電子カルテのメリットやデメリットにも詳しかったことも導入のきっかけになりました。
患者さんが増えた具体的な理由を教えてください。
- 松隈事務長
- ベッド稼働自体は以前とほぼ変わらないと思いますが、多くの医療機関や介護施設等で地域包括ケア病棟が認知されたこと、原則「断らない医療」を目指し、高齢者救急の対応を行ってきたこと、また訪問診療や介護系全体に力を入れ在宅サービスにつなげることで医療から介護へのサイクル「時々入院、ほぼ在宅」が確立されたことが大きな要因だと思います。
電子カルテで富士通のHOPE Cloud ChartⅡをご選択いただいた理由をお聞かせください。
- 松隈事務長
- 3社ほど検討しましたが、クラウドとオンプレとの比較検討を行ない、クラウドはインターネットと違う帯域の専用回線が確保されており、院内サーバーがなくデータセンターでセキュリティ対策がされていること、その反面オンプレに比べるとデータセンターを経由することで処理スピードが遅いこと、原則カスタマイズができないことは課題でした。しかし、国の施策で今後医療DX化が一層推進される事、また医療情報交換のための新しい標準規格としてHL7FHIRに対応するためにもやはりクラウド型がいいのかなとも考えていました。
当院は専任SEを配置するほどの規模ではありませんが、クラウド型であれば様々なトラブル対応等はほぼサポートセンターでしてもらえますし、更新時の費用もオンプレと違い低く抑えられます。このことは電子カルテという莫大な費用を捻出しなければならない中小病院にとって大きな魅力でした。結果、それぞれに一長一短がありましたが、最終的にHOPE Cloud ChartⅡに決まった次第です。
システム構築のパートナーにエム・オー・エム・テクノロジーをお選びいただいた理由をお聞かせください。
- 松隈事務長
- 地場の富士通のパートナーの中でも唯一、サポートセンターがあることですね。オペレーション上、困ったことがあってもすぐ尋ねることができるし、リモート作業などですぐに対応していただけるのはとても助かっています。
Process導入過程
実際の導入作業はいかがでしたか?
- 松隈事務長
- 導入は2年前の8月から始めて翌年の3月中旬過ぎまでかかりましたが、病院全体として取り組む事業として周知徹底されていましたので、大きな問題もなく、順調に進みました。導入前は多少時間外労働が増えましたが、想定範囲内でした。またこの時期はコロナ禍にあって、病院の出入りが厳しかったのですが、クラウドのよさが活かされ、遠隔操作で作業を進めてもらいました。
また、主たるスタッフが積極的に先頭に立って導入を進めていましたし、看護師をはじめ、その他のスタッフが非常に協力的だったこと、そして当院の立場でアドバイスをいただける業者さんがいらっしゃいましたので、スムーズに導入できたのではないかと思います。
ただ、我々としては電子カルテ導入など初めての経験で、「3ヶ月で大丈夫です」と言われ、導入を急がされましたが、院内調整も難しく、準備も整っていないこともあって担当の方にはかなり厳しいことも言いました。
とにかくスケジュール管理はこちらが主導し、導入までには半年かかりました。しかし、SEの方々は丁寧に対応していただき、うるさく言う私がいる中で粛々と作業を進めていただき、とても感謝しています。
電子カルテの導入により、どのような変化・効果がありましたか?
- 松隈事務長
- 各部署とも医師からの指示をすぐに確認でき、多職種での情報共有の面ですごく助かっています。時間外労働はかなり減少していますし、業務の効率化には充分つながっていると思います。同時に同じ患者情報にアクセスでき、カルテへの書き込みや閲覧ができるのはありがたいですね。またタイムリーに外来患者数、待ち時間、入退院患者数、病棟の空床状況や稼働率がわかるのも助かります。
しかし、各所に電カル端末に合わせたプリンター設置も必要になり、コピー用紙やトナーの消費量がかなり増えました。また署名が必要なものは印刷して、さらにスキャナーで電子カルテに取り込みをする必要があり、紙の使用は以前より増えていると思います。電子カルテだからといってペーパーレスにはならないとは聞いていたのですが、消耗品がかなり増えたと実感しています。
導入されて1年半になりますが、患者さん、スタッフの皆さんの評価はいかがですか?
- 松隈事務長
- 患者様にとってはあまり変わっていないようですが、次回の診察や検査予約表をもらえるのは喜ばれております。やはり一番助かっているのは多職種間の情報共有と業務効率化とだと思います。患者様の情報を院内のどこでもいつでもすぐに見れますからね。
先生方にとっては手書きの書類作業がほぼなくなり、業務効率は格段に上がっていると思われます。現在は医師事務作業補助者がカルテへの代行入力や処方箋、検査オーダー、次回予約表、紹介状作成などを行い、先生方は多くの患者様の診察が可能になっています。
また電子カルテ連携した部門システムが全部署に入っていますので、格段に業務効率は上がっていると思います。
Prospects将来展望
今後のICT化や機能拡張についての展望、貴院の展望についてお聞かせください。
- 松隈事務長
- 電子カルテの導入ができたことで、現時点では当院のICT化はほぼ完了しています。勤怠管理システムも導入しておりますし、スタッフ間の情報共有も各自のスマホを使用して行なっています。また当院が積極的に行っている訪問診療も往診用の端末を使用していますので、タイムラグなくカルテに記入し、院内とも共有できています。
国の進める機能分化に対応するための病床再編や医療DX化、オンライン資格確認システムの増設、電子処方箋の対応、電子カルテ情報共有サービスの対応が直近の課題でしょう。
電子カルテの導入を検討されている病院さまにアドバイスをお願いします。
- 松隈事務長
- いろんな意見をお持ちの方もいるし、実際に使用されてきた方もいるでしょうが、重要なのは、電子カルテ導入に向けて取り組んでいくという院長からの強い発信と院内のコンセンサスです。電子カルテ導入委員会のもとに各WGを置き、各部署のキーパーソンとなる人が、導入に向けてスタッフに指導し、全員で同じ方向を向いていくことが一番大事です。当院は反対意見を言う者もおらず、スタッフ全員が積極的に取り組んでくれたことがとてもありがたかったですね。
繰り返しになりますが、主たるスタッフが中心となり、率先して導入に動いてくれ、それにみんながついて行ってくれていったことがよい結果につながりました。
また、MOMTECのSEの方々を含め、協力関係業者の方々が導入に向け、システムに未熟なスタッフに根気よく指導していただき、カスタマイズがあまりできない分、我々が使用しやすいよういろんなアドバイスもいただきました。
立ち上げ後も半月程度立ち会ってくれるなど、とても手厚くフォローしていただいたことに深く感謝いたします。
- 病院名
- 医療法人文杏堂 杉病院
- 病院長
- 杉 雄介
- 病床数
- 72床
- 理念
- 私達は、地域の方々の健康のために、信頼される医療と心と体の安らぐケアを提供します。
- 基本方針
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- 私たちは患者さん一人一人の尊厳と権利を尊重します。
- 私たちはすべての人に平等に接します。
- 私たちは患者さんの自然に治癒する力を尊び、不必要な検査や治療を排除します。
- 私たちは常に自分の持っている専門知識、能力、体力を最大限に発揮して患者さんの治療と介護にあたります。
- 私たちは常に反省をし、向上心を持って日々の仕事にあたります。
- 私たちは豊かな人間性の滋養に努め、心理的、社会的、精神的により高めるように努力します。
- URL
- https://sugi-hospital.jp/